AV出演被害防止・救済法案(AV新法)が成立 視聴者目線での影響を考える

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2022/6/15、『AV出演被害防止・救済法案』(いわゆるAV新法)が参院本会議で成立しました。

AV出演被害防止・救済法案、15日に成立へ -産経新聞

 

今後はAVの製作・販売にあたり以下のルールが適用されます。

AV被害救済法案のポイント

■契約から公表までのルール

・契約から撮影までは1カ月、撮影から公表までは4カ月の期間を置く

■公表後の取消権

・性別や年齢を問わず、契約に瑕疵があれば公表後5年間は取り消し可能

・性別や年齢を問わず、公表後1年間(法施行2年までは経過措置として2年間)は契約取り消し可能

・契約を取り消した場合、事業者は原状回復義務を負い、出演者は販売・配信の差止請求ができる

■罰則規定

・不実告知または威迫・困惑行為を行った場合:3年以下の懲役または300万円以下の罰金

・書面交付義務違反があった場合:6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金

※上記産経新聞記事より引用

 

また、AVの定義については以下のように定められています。

「性行為映像制作物(この資料において便宜上「AV」)」とは、性行為(性交若しくは性交類似行為又は
他人が人の露出された性器等(性器又は肛門をいう。)を触る行為若しくは人が自己若しくは他人の露出され
た性器等を触る行為)に係る人の姿態を撮影した映像並びにこれに関連する映像及び音声によって構成され、
社会通念上一体の内容を有するものとして制作された電磁的記録又はこれに係る記録媒体であって、その全体
として専ら性欲を興奮させ又は刺激するもの

AV出演被害防止・救済法案 概要 -衆議院 より引用

 

以前に書いた記事では、「視聴者目線で気にすることはそんなになさそう」と暢気なことを言ってしまいましたが成立前後の期間で業界人のSNS等での発信も活発化し、それらを拝見したり自分でも改めて考えてみた結果、いくつか視聴者にとっての影響も大きそうだなと思う事があったのでまとめていきたいと思います。

①契約取消が発生すると製作費はそのまま純損失となり、また、撮影から公表までに4ヶ月の期間を要し売上の回収にも時間がかかることから、資金繰りができないメーカーは潰れる

②①に伴って出演者のギャラに影響が出れば、女優の質の低下に繋る

③取消のリスクを懸念して、実績のない新人の起用が減る可能性がある

④出演者の1人でも取消を希望をした場合、作品全体が潰れるため最少人数での撮影が増える(大人数の作品が減る)可能性がある

⑤④に伴い、汁男優が絶滅する可能性がある

⑥契約から撮影まで1ヶ月の期間を要するため、ナンパ系作品がなくなる(あるいはフィクションと明示され完全に茶番化する)。また、時事ネタや流行り物のパロディも旬を逃す。

⑦ストリーミングで購入した作品が見られなくなるかもしれない(返金はされるのか?)

⑧リスク受容のために価格が上昇するかもしれない

などが考えられます。(あと何か思いついたら随時追記します)

 

並べてみるとけっこうな影響ですよね。

もちろん、これらはあくまで視聴者の目線での話であって当事者の方々の混乱は想像を絶するものでしょう。

 

個人的に問題だと思うのは、これだけの制約を課しても本当に性被害を減らすことに繋がるのか疑問が残るところです。

確かにAV出演強要等の被害は減るのかもしれませんが、それは「AVに出演してお金を稼ごうとした人・稼がせようとした人が稼げなくなる」ということでもあり、他の性産業へ流れてしまうだけのように思えます。

昨今では個人での配信や同人AVのような物の販売も行われていることから、正式な契約を通さない似非AVが増えてかえって被害者が増えてしまうのではないかという懸念もあります。

さらに言うと、発売された後で契約取消を願い出たところで一度AVに出たという事実は消えず、販売が差し止められたところで画像や動画はインターネット上に永遠に残り続けるでしょうから本当に救済と言えるのかは甚だ疑問です。

何より、強要などなく自分の意志でAVに出演し生活している人にとっては死活問題です。

SNS等では撮影予定がキャンセルになった等、女優さん男優さんたちの悲鳴も投稿されています。

(ずっと前から成立の見通し立ってたのになんで今更そんなことになるんだろう、という疑問はありますが)

出演者を守ることを謳いながら、実際には虐げる結果になってしまっている 。これでは何のための新法か分かりません。

 

 

法律自体の是非については私は専門家でも業界人でもないのでこれくらいにして視聴者目線での影響の話に戻りますが、8点並べてみたものの実際の所そこまで大きな影響はないのかもしれないと半ば楽観的に考えてもいます。

 

というのも、ほとんどの項目で「~可能性がある」「~かもしれない」と書いたように、あくまで『リスク』の話なのでその『リスク』にどう対処するかはそれぞれのメーカーの判断に委ねられるからです。

例えばA社が「大人数作品はやめます」と言ったとしても、消費者の需要が変わるわけではないのでB社が「大人数作品続けます」と言えば、B社はリスクを負う代わりにこのジャンルの売上を独占できるわけです。

売上が出せていればいくつか契約取消されてしまったとしても、それを補填した上でさらに業績を伸ばせるかもしれません。

なのであえてリスクを取るという判断は十分ありうると思います。非常に難しい判断だとは思いますが。

 

そういうわけで最初のうちは新作の頻度が減って総集編やオムニバス作品が増えたり、引退者やメーカーの倒産も出てくるかもしれませんが、あくまで視聴者の立場で言うのならそう大きな変化はないだろうと思います。

残酷なようですが、現状でもAV女優・作品は多すぎて全く全体像を把握できていないくらいなので、いくらか減っても気にならないと思います。もちろん嬉しくはないですけどね。ごめんなさい。

 

結局のところはっきりしたことは言えず、今後の展開を見守るしかないですね。

私も一AVファンに過ぎず分からないことばかりなのでコメント等でご意見頂けると大変嬉しいです。

 

新しい法律や規制が生まれると、それに合わせて思いもよらない発想が生まれることもあるので全く新しいAVの楽しみ方が今後出てくる可能性もあります。

AV業界の皆さん頑張ってください。応援しています。

 

以上!

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